必殺と瞬殺
当時は学生で深夜のコンビニでアルバイトをしていた。
幼稚園から中学校まで同じ学校に通っていた友人と、同じコンビニで喋りながら働きたいという安易な考えだった。店長にもバイトを志望した理由をそのまま伝えたら「働いてくれれば喋るくらいはいいよー」って安易だった。
仕事も慣れてくると心にも余裕が出てきて、眠気が襲ってくる。深夜のアルバイトは朝方になると眠くなるのだ。
その眠気と戦う為に友人と不毛な議論をするのだ。
その日のテーマは「殺」について。
友人との争点は「必殺」と「瞬殺」はどっちが恐いかである。
私は「必殺派」だったが、友人は「瞬殺派」である。
「必殺派」である私の言い分としては、
- 必ず殺されるから「必殺」って恐い
- 「必殺技」という言葉があるし、そのキャラクターの奥義であること
これだけでもかなり説得力があるはずだが、友人も眠気を覚ますために話に乗ってくる。
対して、「瞬殺派」である友人の言い分は、
- 一瞬で殺されるから「瞬殺」って恐い
- 「瞬獄殺」は強い
その後は、バイト明けに中古ソフトのストリートファイターを買って遊んだのだ。
必ず殺すか一瞬で殺されるかの不毛な議論は、ゲームの中で殺し合いをして続きをやっていた。