123456789のブログ

死ぬ前に抗う

常連になりたい

魚を食べたい!っていう時にすぐに食べられる機会が減少しています。特に刺身なんかは一ヶ月以上食べていない、と思う。

ふと仕事終わりに刺身が無性に食べたくなったので職場からの帰り道で居酒屋を検索すると、ちょうど良い食べログレビューのお店があったのでそちらを寄って刺身を食べよう。

 

ということで、凄い酔っぱらいの隣に座りました。完全に出来上がっているはずなんだけど、陽気でそんなに面倒くさい感じの酔っぱらいではないのです。どことなく私の様子を窺いながら絡んでくるところが、本当に酔っぱらいなのか?って思わせるけど喋ると猛烈に酔っぱらいなんです。店主と女将に「いいかげんにしろ」、「静かにしろ」ってお客のはずなのに罵声を浴びまくっていて、この人の立ち位置はよくわからない。カウンターには酔っぱらいの他に女性男性の1名ずつの常連さんも。また、その常連さんも顔見知りで個人情報をベラベラと喋る酔っぱらい。「余計なことを言うんじゃねえ」ってまた怒られた。それでも酔っぱらっているから気にしていない。私は既に刺身を食べることを決めていたけど、酔っぱらいも刺身を勧めた。この店の刺身は値段の割に量と種類が多い。そして揚げ物も美味しい、と。

私は目的の刺身を注文。刺身が食べたい、そして日本酒と共に流し込みたい。

そんな注文を酔っぱらいが隣で見ていて、「お兄さんいきなり日本酒??いやーすごいねー、ビール派、ホッピー派とかファーストオーダーで本当に酒が好きなのかどうかがわかるからね」やかましいんだよ、酔っぱらい。既に酔っぱらいなのにそういう飲み方を語られると正直ウザイです。それでも愛想笑いで合わせつつ、話を盛り上げる。

お通しをつまみながら日本酒を飲んでいたのでですが、もうお通しの三種類で充分に1合飲み干してしまった。お通しむっちゃ美味かった。薫製の刺身がお通しってすごい。

そして三種類っていう豊富さも驚き。劇団ひとりのコントでお通しのネタが最高。

刺身を盛りつけている店主の様子を見て、酔っぱらいが「あれはお兄さんのだね、あれで一人前だよ、すごいよね」たしかに凄い。500円くらいで6種類くらいの刺身が入っている。しかも一切れじゃなく数切れですよ。そして、私の元に刺身が到着。

酔っぱらいが「いやー、すごいねー、それじゃあ一緒につまもうかなー」

 

 

『(食い気味に)だめー』

 

「がはははは、お兄さんきもちいねー、突っ込みが良いよー」

 

酔っぱらいに褒められた。少し嬉しかった。

刺身は期待どおりに美味しかった。これは再訪あるな。それで、刺身に満足をして酔っぱらいと話していたら、目の前でかき揚げを調理している店主が見えた。酔っぱらいは、

「お兄さんあれくらいなら食べられるでしょ」

 

『いやー僕は見せかけだけでそんなに食べられないんですよ』

 

「そしたら、ハーフにしてもらいなよ、本当に美味しいよ」

 

『ハーフって出来るんですか?』

 

店主「できるよ」

 

まじか、それは良いな。『ハーフください』

 

なんだか上手く乗せられたような気もしたけど、実際に美味そうだった。そしてかき揚げはハーフでちょうど良かった。

 

ここで、常連の酔っぱらいは帰るということで。

カウンターに腰掛けている常連さん一人ひとりに挨拶をする酔っぱらいはまた罵声を浴びていた。この店のマスコットみたいな人なのかな、って思った。

「お兄さんまたねー」軽い感じだけど、とても貴重な時間だった。充実した時間だった。それから、カウンターに座っている常連がカキフライを注文したので便乗して『僕も2個ください』と言ったら店主が笑っていた。女将が「9、6、3、1、2、で合計21個ね」すげーカキフライの人気で笑った。カキフライのタルタルはタルタル風だったかも。酔っぱらってわからなかっただけかも。

 

満足した。女将にお会計を依頼すると、カウンターに座っていた常連さんからたくさん声を掛けてくれた。

 

「またきてくれよな」

 

「30歳でこの店にくるなんて良いわねー」

 

「次は一緒に飲もう」

 

「またねー」

 

社交辞令かもしれないけど、最高かよ。この店は誰にも教えないで通うわ。

 

少し泣きそうになった。次回はボトルキープしよう。